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2009-06-10 Wed 16:47
*基本=スザ×ルル。
★・・・裏サイト掲載(要パスワード) お題提供:お題屋TV様 *忠義を誓う10題 01 あなたのために 02 器用ではないけれど 03 偶然も必然も関係なく 04 手足となりて 05 望むのならば 06 すべてを捧げましょう 07 言葉にせずとも 08 いつでも側に 09 それは命令ですか、それとも 10 いのちを賭して |
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2009-06-10 Wed 16:46
よく晴れた空を見上げる。
久しぶりに現れた青空は、まるで今日の儀式を祝福しているようだった。 「あと1時間・・・」 これが最後のカウントダウンだ。 神聖ブリタニア帝国に慣習として伝わる”騎士叙任の儀”を控え、第11皇子にして第17位皇位継承権を持つ青年ルルーシュは目を細めた。皇族の象徴というべき紫水晶の瞳は、色が濃いほど力を宿す。現在では薄れてしまった純血だが、ルルーシュのアメジストは初代に匹敵するほど強く澄んでいた。 ギアスと呼ばれる特殊な能力を有し、母親亡き後も後見なしで己の地位を守り続けた皇子。彼が唯一と定めた騎士が、今日誕生するのだ。 「ルルーシュ・・・・時間だよ」 振り返った先で、白い騎士服に身を包んだ幼馴染が待っている。 「ああ・・」 嫣然と笑みを浮べた黒髪の皇子が手を差し伸べ、恭しく屈んで甲に唇を押し当てた。背で揺れるマントがふわりと風に揺れて広がる。 「これで、お前は俺のものだ」 「そうだね」 穏やかに微笑んで見上げる幼馴染の茶色い癖っ毛を指に絡め、美しい翡翠の瞳に映り込む己の姿に頬を緩める。 ずっと願ってきた。 ルルーシュの妹ナナリーが望む、優しい世界の実現の為に・・・・・。 互いの持つ能力をすべて傾けて戦う覚悟を決めたあの日から、2人は努力を惜しまなかった。それ故に戦略の天才として”黒の皇子”の二つ名を馳せるルルーシュと、”ブリタニアの白き死神”と呼ばれるまでの実力を誇るスザクがいる。今日(こんにち)の彼らがあるのは、盲目で足の不自由な少女のささやかな望みのお陰だった。 「ルルーシュ殿下、失礼いたします。式典が始まりますので、こちらへどうぞ」 促す侍女に頷き、ルルーシュは黒いマントを翻して歩き出す。ドアの直前で足を止め、顔だけ振り返った。柔らかな笑みはすでに消され、黒の皇子と恐れられるルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが口を開く。 「先に行く」 この式典へ向かう言葉のように聞こえる。だが、意味はまったく違った。 「イエス、ユア・ハイネス」 皇族に対する礼を取ったスザクを残し、黒衣の麗人はそれきり振り返らない。足音が聞こえなくなって、ようやくスザクは顔を上げた。 次に侍女が呼びに来るのは、15分後だろう。玉座の前に立つ至高の人を思い浮かべ、口元が自然と笑みを刻む。美しい黒髪と、皇族特有の紫水晶の瞳、そして抜けるように白い肌と母親譲りの美しい顔立ち―――戦略、戦術の立案に長けているだけでなく、自ら率先して戦場に立つ勇気ある真に美しい人だ。 彼(か)の人の騎士に選任される今日の為に、イレブンと蔑まれても努力を続けた。士官学校を主席で卒業し、ランスロットという新型ナイトメアのテストパイロットとして実績を上げ・・・・血の滲むような努力がようやく実るのだ。 最終的な目標はまだ先だとしても・・・・。 「ルルーシュ、君の為に・・・」 呟いた名を呼べるのは、他者がいない場所だけ。ナナリーとルルーシュ以外の人がいる場所で口にすれば、不敬罪で即処断される。理解しているからこそ、今、呼びたかった。 ”主”である以上に、スザクが自分を保つ為に必要な存在―――。この後の式典で騎士の叙任を受ければ、自分は彼の物になる。 「誰より、愛してる・・・」 まだ本人には告げていない告白が響き、視線は自然と窓の外へ向いた。晴天の空の下、鮮やかに咲き誇る薔薇が非常に美しい。凛とした立ち姿の薔薇を見つめるスザクの耳に、近付く足音が聞こえた。 ああ・・・時間だ。 ―――そして、”唯一”を誓う場が待っている。 |
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2009-06-02 Tue 16:20
*基本=Kid(快斗)×新一(コナン)。
★・・・裏サイト掲載(要パスワード) お題提供:硝子の境界様 * 1 嘘のはじまり Tragic Hero 全てが夢ならいいのにね 追いかけずにはいられない 諦めたらおしまい * 2 宝石を散りばめたように 何もかも暴かれたら最後に何が残るんだろう 雑踏の中でもきみを見つけられる 白の暗号 interception |
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2009-06-02 Tue 16:18
闇に紛れていた真実が光を放つ。謎という曖昧な殻を破った真相を前に、名探偵は静かに顔を上げた。
「犯人は―――あなたです」 指差した先で、女性が泣き崩れた。綺麗な人で、長い黒髪を揺らして泣く姿は男性なら心動かされるだろう。しかし探偵である新一の心は微動だにしない。 「凶器の確保は出来ませんでしたが・・・」 すでに溶けてしまった氷・・・足元の水溜りを見ながら眉を顰める。刑事達が慌しく現場保存を始めた。足元の水溜りからはルミノール反応が出て、凶器であった事実が確定される。 いまだ泣き続ける女性の気持ちなど、新一には理解できなかった。 自分を見てくれないから、こんなにも綺麗なのに振り向かないから・・・・・その程度の理由で男を殺す。自らが愛し求めた相手の心臓へ・・・・独り善がりな我が侭で氷を突きたてた。それも背中から。 卑怯だと罵る気はない。 女性の非力さを考えれば、正面から襲っても返り討ちにあうのは明白だった。だが、殺すほどの理由だろうか。新一が理解できないのは、その部分だった。いわゆる感情の部分だ。 被害者には愛する妻がいて、先日かわいい娘も生まれたばかりだったのに―――突然散らされてしまった命は、どうやっても取り戻せない。いくつもの現場を見ているからこそ、この加害者の身勝手さが鼻についた。 くるりと背を向けた瞬間、 「危ないッ!」 「アンタがいなければ!!」 叫ぶ声が重なって聞こえる。 振り向くより早く、背に熱さが走った。痛みはなく、ただ熱いだけの傷口はわき腹を掠めている。膝を着きそうになった新一を、1人の若い刑事が支えた。直後、彼の蹴りが凶器を弾く。 どこかに隠していたナイフで切りつけた女性は、そのまま現行犯逮捕されて手錠を嵌められた。 「大丈夫ですか?」 心配そうに声をかけながら、刑事は手際よく手当てを施す。 「肩に手を回して」 言いながら、ひょいっと新一を抱き上げた。標準男性より軽いとはいえ、一応男である。抱き上げられた状況に呆然としている間に、車に運び込まれた。 「工藤君、大丈夫かね?」 目暮警部に「はい」としっかりした声で返事をする。事実、まだ大して痛くはなかった。 「病院に運びます」 「ああ頼む」 刑事と目暮警部の間で敬礼を交えた会話があり、車はスムーズに走り出す。先ほど聞こえた”病院”という単語に、新一は内心舌打ちしていた。 志保以外の医者に診せる気はないが、シャツを濡らす出血量を前に「医者は要らない」といっても無視されるだろう。迷いながら言葉を探す新一に、刑事はくすっと笑みを漏らした。 「大丈夫ですよ、私の名探偵。隣のお嬢さんへお届けしますから」 目を瞠る。 「お前・・・」 「そろそろ血も止まってきたのでは?」 先ほどの応急処置が的確だったのか、確かに出血は減っていた。 「それにしても、犯人の逆恨みで襲われるなんて・・”悲劇のヒーロー”ですね」 探偵も大変だ。 慣れた様子で運転する怪盗KIDは、明るい茶色の髪を揺らして視線を寄越す。 「バーロ、こんなの悲劇でも何でもねぇよ」 もう――――この程度の悲劇に浸れるほど、世間を知らない子供ではない。 ”KID”の名を冠しながら”子供”では居られない怪盗紳士は、何も言わずに小さく息を吐いた。 |
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2009-05-27 Wed 23:03
”コナン”になったことが―――そもそも嘘の始まりで、”新一”に戻っても嘘は続く。
殺人事件をいつも通りに解決して、送ってくれるという刑事の申し出を断って夜道を歩き出す。見上げた先で満月が輝いていた。いや、よく見れば満月ではない。僅かに欠けていて、どうやら明日が”月満ちる夜”だろう。 東京の夜は星空が見えない。それでも存在を主張する月の貪欲さに気づけば、苦笑いするしかなかった。そう、月を守護星に持つ人物によく似ている。 普段は空で沈黙しているのに、一度気づいてしまえば無視できない存在感なんて、本当にそっくりだった。 「ったく、アイツを思い出すなんてな・・」 呟いて踵を返すと、真っ白なマントが視界を過ぎった。 蒼い瞳を見開く新一を前に、優雅に一礼する月下の奇術師が薔薇を差し出す。黄色い花弁を揺らす大輪の薔薇を反射的に受け取れば、マジック用に棘を抜いてあった。妙に芸の細かい男だ。 手を伸ばしても届かないけれど、親密さを漂わせるギリギリの距離でKIDは足を止めた。いつも彼はこの距離から近付かない。素顔を窺うには、少しばかり遠い距離だった。 「黄色い薔薇の花言葉をご存知ですか? 名探偵」 「・・花言葉ぁ?」 そんなの探偵に必要な知識か? すべてがそこに直結する新一の怪訝そうな表情を読んで、KIDは微かに顔を伏せて切なそうな溜め息をついた。 「”嫉妬”―――どなたを思い出していらっしゃったのです?」 きょとんとして、まじまじと目の前の男を見つめる。確保不可能な怪盗と名高い彼が、何を問うたのか理解するまでに10秒ほどかかった。 「・・思い出して? ・・・・・ああ、お前だけど?」 「オレ?・・」 思いがけない言葉に、珍しく怪盗紳士の仮面が剥がれかけている。 「月を見て、お前を思い出しただけ・・・・」 「そう・・ですか」 剥がれかけた仮面を一瞬で修正し、KIDは微笑んで手を月へ伸ばす。何もない空中を掴む仕草の後、その手には再び薔薇が生まれていた。どこから取り出したのか、まったく分からない。 「では、こちらをどうぞ」 「今度は白・・・また意味があるのか?」 「ええ」 嬉しそうに弾んだ声で、KIDは距離を詰めた。 普段乗り越えない境界線のような距離が消えたことで、KIDの顔が月光に照らされる。どこか自分に似た・・・だが数段大人びた表情に目を瞠った。 「お受け取りください」 言われるままに受け取れば、先ほど渡された黄色い薔薇を奪われた。ぽんと無造作に後ろに放ると、見事なマジックで消してしまう。何もない空中に吸い込まれた黄薔薇に小首を傾げるが、香りの高い白薔薇に視線を落した。 「”私はあなたに相応しい”」 「は?」 「白薔薇の花言葉です」 ついでに・・・と呟きながら、今度は赤い薔薇を逆の手で取り出す。月の雫のように、またもや空中から現れた赤薔薇は鮮やかな色だが、まだ蕾だった。 「これは”愛らしい”あなたへ・・・・この蕾が開く明日の晩、お伺いいたします」 一礼して姿を消したKIDを呼び止める間もない。路上に取り残された新一は、小さく溜め息をついた。 「赤い薔薇の花言葉くらい知ってるさ。”愛してる”だろ・・」 そう独りごちた新一は知らない。赤薔薇の蕾の花言葉は”愛らしい”、開いてこそ”情熱”であり”熱烈な恋”に変わるのだと―――。 だが、明日の逢瀬を約束した言葉を抱き締めて、新一は帰宅を急いだ。家に着くなり、照明をつけるのもそこそこに花瓶を探す。活けた薔薇を指先で突(つつ)き、ほっと一息ついた。 アイツは知らない。 こんなにもKIDに囚われている俺を・・・・・。 興味のないフリをしながら、一挙一動に魅せられている。心をとっくに盗まれた今、明け渡せるのは空っぽの体のみ。 「まだ渡せねぇよ」 愛の言葉を聞いてないからな。 くすっと笑って、指先で赤い蕾を弾いた。 そうして嘘はまた生まれ、途切れることはない。 月が朝になっても隣にある日まで。 |
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